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【マイクロブルワリー開業インタビュー】東京都新橋「新橋クラシックラガー」

目次
Kunisawa Brewing

東京都新橋「Kunisawa Brewing」

新橋の地で三代続く印刷業を営んでいる「河内屋」。
2022年に50周年を迎え、印刷業と並行してステーショナリーブランドを立ちあげたそう。ステーショナリーブランド「Kunisawa」がライフスタイルブランドに変遷する過程として、第一弾に「クラフトビール」を選び、2022年5月に「Kunisawa Brewing」を開店。
なぜマイクロブルワリーを導入するに至ったのかを取材しました。

Kunisawa Brewing
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もともと印刷業を営んでいるところから、なぜクラフトビールを作ろうと思ったのでしょうか?
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

アメリカでビール作りを体験してから魅了されてしまったんです。

今(2023年)から約30年近く前、1997年くらいにアメリカと南米を旅していたことがあったんです。日本でもアメリカでも酒税が改正されて、日本は地ビールができたころですね。その時代、アメリカでは自宅でビールが作れるようになったんです。
自分も知り合いに誘われてビール作りのワークショップを経験する機会があって。ビールが自宅で作れることに衝撃を受けました。
元々、うちの家庭では味噌や梅干し、ヨーグルトなどを作っていて、家庭内でのものづくりがとても身近な環境だったんです。日本の税法上は1%未満しか作れませんが、ビール作りも趣味の一種として細々と続けていました。

とはいっても、本業は印刷屋でしたし、2020年3月当時はオリンピック関係やウェディング関係の仕事を中心に営んでいました。それが2020年4月、東京に非常事態宣言が発令されたと共に状況が一変したんです。

今(2023年)から約30年近く前、1997年くらいにアメリカと南米を旅していたことがあったんです。日本でもアメリカでも酒税が改正されて、日本は地ビールができたころですね。その時代、アメリカでは自宅でビールが作れるようになったんです。
自分も知り合いに誘われてビール作りのワークショップを経験する機会があって。ビールが自宅で作れることに衝撃を受けました。
元々、うちの家庭では味噌や梅干し、ヨーグルトなどを作っていて、家庭内でのものづくりがとても身近な環境だったんです。日本の税法上は1%未満しか作れませんが、ビール作りも趣味の一種として細々と続けていました。

とはいっても、本業は印刷屋でしたし、2020年3月当時はオリンピック関係やウェディング関係の仕事を中心に営んでいました。それが2020年4月、東京に非常事態宣言が発令されたと共に状況が一変したんです。

新型コロナウイルスですね。影響は大きかったんでしょうか?
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

仕事が急激になくなって、ここ1年2年じゃどうしようもないなと。

飲食店はお酒が出せないだけでしたけど、うちのような印刷業はかなり厳しかったんです。あまりにも仕事が急激になくなって、この落差は1年2年じゃどうにもならないなと思いながら、やけ酒を毎晩飲んでいるときに(そういえばビール作り!!)と思ったんです(笑)。

幸い、うちは新橋に8階建ての自社ビルがある。1階がステーショナリーブランドのイベントスペースで、とはいえイベントは年に1回やるかやらないかで倉庫化してまして。2階のショールームも人が足繁く通う場所ではなかったので、有効活用したほうがいいなと。

飲食店はお酒が出せないだけでしたけど、うちのような印刷業はかなり厳しかったんです。あまりにも仕事が急激になくなって、この落差は1年2年じゃどうにもならないなと思いながら、やけ酒を毎晩飲んでいるときに(そういえばビール作り!!)と思ったんです(笑)。

幸い、うちは新橋に8階建ての自社ビルがある。1階がステーショナリーブランドのイベントスペースで、とはいえイベントは年に1回やるかやらないかで倉庫化してまして。2階のショールームも人が足繁く通う場所ではなかったので、有効活用したほうがいいなと。

Kunisawa Brewing

1971年に印刷業を開始し、2017年には文具ブランド「KUNISAWA」を立ちあげています。
世界でなんと20か国以上に愛されているブランドなんだそう。

それで新しい事業としてクラフトビール作りを始めたという経緯なんですね。
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

本業が落ち込んだことをきっかけに、好きなものを仕事にしないと踏ん張れないなと気づいたんです。

本業の印刷業は、その当時(2020年3月)までは調子が良かったので、わざわざ大きな投資をしてビール作りを事業としてやるまでもないと思っていたんです。美味しいビールはどこにでもありますし、そこに飲みに行けばいいやと。

でも、その本業がここまで落ち込んだので、何かしらの軸を作らなきゃという気持ちに変わりました。相当「好き」を仕事にしないと、踏ん張れないとも思いましたね。ものづくりはすごく好きで、尚且つビールは地域にも還元できそうな仕事だったのでそういう思いもあって始めたんです。
とはいっても、あえてこの状態にならなかったらやってなかったなとは思います。背中を押されたというよりは、(新型コロナの影響で)突き落とされたという感じですね(笑)。
今までは趣味でしたが、「本気でやってみたい!」と決断ができたという意味では新型コロナウイルスのおかげとも言えますね。

本業の印刷業は、その当時(2020年3月)までは調子が良かったので、わざわざ大きな投資をしてビール作りを事業としてやるまでもないと思っていたんです。美味しいビールはどこにでもありますし、そこに飲みに行けばいいやと。

でも、その本業がここまで落ち込んだので、何かしらの軸を作らなきゃという気持ちに変わりました。相当「好き」を仕事にしないと、踏ん張れないとも思いましたね。ものづくりはすごく好きで、尚且つビールは地域にも還元できそうな仕事だったのでそういう思いもあって始めたんです。
とはいっても、あえてこの状態にならなかったらやってなかったなとは思います。背中を押されたというよりは、(新型コロナの影響で)突き落とされたという感じですね(笑)。
今までは趣味でしたが、「本気でやってみたい!」と決断ができたという意味では新型コロナウイルスのおかげとも言えますね。

「Kunisawa Brewing」ではラガーを売りにしているのだとか。クラフトビールというとエールのイメージが強いですが、これには何かこだわりがあるのでしょうか?
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

自分が好きなのがラガー。新橋の親父は黙ってラガー。

おっしゃるとおり、ラガーはエールビールより時間が3倍かかりますし、設備的も倍かかるんです。
でもやっぱり自分が好きなのがラガービールなんです。ラガーは日本の気候にも合っていて、飲み飽きないドリンカビリティがある。日本で飲まれているビールの9割はラガーですしね。
アウグスビールさんにも「ラガーでやりたい」とずっと言い続けました。2021年6月に特許庁に申請して、「新橋クラシックラガー」という名前の特許を取り、店には店の名前じゃなく「新橋クラシックラガー」というビールの名前だけが書いてあります。

といいつつも、エールもヴァイツェンもスタウトも、いろいろ作っています。
ラガーは通常のビール造り工程において、ラガータンクという専用タンクに移してマイナス1度で最低一カ月熟成させないといけないんです。 でも自分はラガーを担当していて、それ以外のビールはもう一人のブルワーに任せています(笑)。新橋の親父は黙ってラガー、というイメージですね!

おっしゃるとおり、ラガーはエールビールより時間が3倍かかりますし、設備的も倍かかるんです。
でもやっぱり自分が好きなのがラガービールなんです。ラガーは日本の気候にも合っていて、飲み飽きないドリンカビリティがあるのもラガー。日本で飲まれているビールの9割はラガーですし。
アウグスビールさんにも「ラガーでやりたい」とずっと言い続けました。2021年6月に特許庁に申請して、「新橋クラシックラガー」という名前の特許を取り、店には店の名前じゃなく「新橋クラシックラガー」というビールの名前だけが書いてあります。

といいつつも、エールもヴァイツェンもスタウトも、いろいろ作っています。
ラガーは通常のビール造り工程において、ラガータンクという専用タンクに移してマイナス1度で最低一カ月熟成させないといけないんです。 でも自分はラガーを担当していて、それ以外のビールはもう一人のブルワーに任せています(笑)。新橋の親父は黙ってラガー、というイメージですね!

Kunisawa Brewing

こだわりの新橋クラシックラガー。
國澤氏曰く「SL広場にいるサラリーマンにぜひ飲んでほしい一杯」。

ブルワリーを導入するにあたり、アウグスビールを選んだ理由についてお伺いしたいです。
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

バックアップが必要だなと思ってアウグスビールさんに相談をしました。

クラフトビールをやろう!と決めたとき、バックアップが必要だなと思いました。それからいろいろなところを調べましてアウグスビールさんに行きついたんです。
自分がラガービールをどうしてもやりたいって言って、でも最初は絶対やめたほうがいいって言われてて。
向こうは本気でやめさせようとしてくるから、こっちは本気でやりたいって言い続けようみたいな気持ちが芽生えて(笑)、やり取りしている間に坂本さん(アウグスビール株式会社代表取締役)と飲み友達になったんです。
付き合っていくうちに、本気でラガーやりたいなら紹介するよと言ってくださいました。クラフトビール業界でも、「あそこラガーやるんだって」と注目され、そのおかげもあって、ノウハウを教えてくれる人とのつながりもできていきました。

クラフトビール業界はラガーをやらないので文献もなく、設備含めてラガーを作るのは本当に大変。でもラガーのおかげで、アウグスビールさんをはじめ、いろいろな方のバックアップが得られたとも思っています。

クラフトビールをやろう!と決めたとき、バックアップが必要だなと思いました。それからいろいろなところを調べましてアウグスビールさんに行きついたんです。
自分がラガービールをどうしてもやりたいって言って、でも最初は絶対やめたほうがいいって言われてて。
向こうは本気でやめさせようとしてくるから、こっちは本気でやりたいって言い続けようみたいな気持ちが芽生えて(笑)、やり取りしている間に坂本さん(アウグスビール株式会社代表取締役)と飲み友達になったんです。
いろいろ付き合っていくうちに、本気でラガーやりたいなら紹介するよと言ってくださいました。クラフトビール業界でも、「あそこラガーやるんだって」と注目され、そのおかげもあって、ノウハウを教えてくれる人とのつながりもできていきました。

クラフトビール業界はラガーをやらないので文献もなく、設備含めてラガーを作るのは本当に大変。でもラガーのおかげで、アウグスビールさんをはじめ、いろいろな方のバックアップが得られたとも思っています。

Kunisawa Brewing

ラガーを貯蔵熟成するタンクには、ブランドロゴの八咫烏が描かれているとのこと。
店の前を通りかかるとロゴが見える配置に。

クラフトビール事業を開始するにあたって、ボトルネックになったことはありましたか?
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

販路開拓と資金の問題。

クラフトビール業界は今が黎明期。業界自体は伸びているけど、作れば売れるってわけではありません。作ることだけじゃなく、販路を作ってファンを作ることがすごく大事だと感じましたね。
国税局に醸造免許を申請するときも、販路先を確実に探すってことを提出書類に書く必要があるんですよ。ビール作りをやりつつ、販路を拡大する。そこを同時にやっていくというのは大変でした。

また、新規事業の資金をどうやって捻出するかも課題でした。本業がガタガタで本業からは資金は出せないのでダメ元で家族会議を開いたんです。「お金を出してくれないか」と相談したら、案外家族みんなが出資してくれたんです。自分もなけなしの貯金を全部投資しました。
あとはちょうど2年前くらいに事業再構築補助金が出ました。それも合わせて、新しく事業を立ちあげました。

クラフトビール業界は今が黎明期。業界自体は伸びているけど、作れば売れるってわけではありません。作ることだけじゃなく、販路を作ってファンを作ることがすごく大事だと感じましたね。
国税局に醸造免許を申請するときも、販路先を確実に探すってことを提出書類に書く必要があるんですよ。ビール作りをやりつつ、販路を拡大する。そこを同時にやっていくというのは大変でした。

また、新規事業の資金をどうやって捻出するかも課題でした。本業がガタガタで本業からは資金は出せないのでダメ元で家族会議を開いたんです。「お金を出してくれないか」と相談したら、案外家族みんなが出資してくれたんです。自分もなけなしの貯金を全部投資しました。
あとはちょうど2年前くらいに事業再構築補助金が出ました。それも合わせて、新しく事業を立ちあげました。

実際の販路開拓はどのように行ったのでしょうか?
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

ビール瓶を持って「試飲してね!」と置いていきました。

夜、両手にビール瓶を持って、飲み屋を回りました。突撃で(笑)。
幸い地元だったので、新橋で立ち上げました、試飲してください、といって置いていって。「面白いね!」って声をかけてくれる人もいましたし、別の店を紹介してくれる人もいました。
1年くらいやってると、少しずつ広まっているという印象です。

夜、両手にビール瓶を持って、飲み屋を回りました。突撃で(笑)。
幸い地元だったので、新橋で立ち上げました、試飲してください、といって置いていって。「面白いね!」って声をかけてくれる人もいましたし、別の店を紹介してくれる人もいました。
1年くらいやってると、少しずつ広まっているという印象です。

2023年5月に1周年を迎えた「Kunisawa Brewing」。
今後のビジョンを教えてください。
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

地域貢献が会社を大きくするのかなぁって。

印刷事業よりいろんな人と接する機会が多い分、クラフトビール事業はすそ野が広いなと感じます。
ですので、人と交流してこれからもいろんな事業をやっていけたらいいなと思っています。

あとは、新橋だけど地産地消にこだわっていて。150年続いてる鶏肉屋とか牛肉屋と取引をしたり、100年続いてるパン屋から酵母仕入れたり。そういうお店から調理法を教えてもらったりもしています。「うちの肉は塩コショウだけでOK」とか。
地域貢献を含めてやっていって、結果的にそういう活動が会社を大きくしてブランド力があがっていくのかなと思っています。

印刷事業よりいろんな人と接する機会が多い分、クラフトビール事業はすそ野が広いなと感じます。
ですので、人と交流してこれからもいろんな事業をやっていけたらいいなと思っています。

あとは、新橋だけど地産地消にこだわっていて。150年続いてる鶏肉屋とか牛肉屋と取引をしたり、100年続いてるパン屋から酵母仕入れたり。そういうお店から調理法を教えてもらったりもしています。「うちの肉は塩コショウだけでOK」とか。
地域貢献を含めてやっていって、結果的にそういう活動が会社を大きくしてブランド力があがっていくのかなと思っています。

最後に、これからブルワリーを導入しようと考えているお店に対して、アドバイスがあれば教えてください。
國澤さん
Kunisawa Brewing
國澤氏

地域密着の、みんなが喜ぶ場所を作りませんか。

事業設計をどうするか、また利益をどうするかにもよって変わってくるとは思いますが。
私が目指すクラフトビールは、地域と密着してみんなが喜ぶような存在なんです。「寄って帰りたいね」というような。
ドイツとかは町々に醸造所があって、基本は町の外には出さないんですよね。ドイツの格言で「ビールには旅をさせるな」と言われているくらいで。野菜と一緒で、その場で消費するのが一番いいという考えなので、街々にビール屋があるんです。

事業をやられてる方が相談にくることもありますので、こういう思いや考えが参考になればいいなと思っております。

事業設計をどうするか、また利益をどうするかにもよって変わってくるとは思いますが。
私が目指すクラフトビールは、地域と密着してみんなが喜ぶような存在なんです。「寄って帰りたいね」というような。
ドイツとかは町々に醸造所があって、基本は町の外には出さないんですよね。ドイツの格言で「ビールには旅をさせるな」と言われているくらいで。野菜と一緒で、その場で消費するのが一番いいという考えなので、街々にビール屋があるんです。

事業をやられてる方が相談にくることもありますので、こういう思いや考えが参考になればいいなと思っております。

Kunisawa Brewing

印刷業のためビールラベルはお手の物。オリジナルラベルや会社周年の記念ラベルも作っています。

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まとめ

クラフトビールでピンチをチャンスに!

マイクロブルワリーを導入して一から飲食店を立ちあげた「Kunisawa Brewing」。新型コロナウイルスによる転機をチャンスに活かした裏側には、新橋という土地に30年前から醸造所(ラガー)を作りたいと考えていた國澤氏の想いがありました。
Kunisawa Brewingのビール醸造所導入をサポート・プロデュースした「アウグスビール株式会社」については下記で詳しく紹介しています。ぜひご確認ください。

アウグスビール株式会社 公式HP
アウグスビール株式会社セミナー情報

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