もともとは地ビールと呼ばれ、地域の活性化などに活用されてきたクラフトビール。近年では、クラフトビールを醸造するマイクロブルワリーを併設した店舗・施設などが注目されています。ここでは、そんなマイクロブルワリーの市場動向についてまとめてみました。
東京商工リサーチが行った「第13回地ビールメーカー動向調査」によると、66社の地ビールメーカーにおける2022年1~8月の総出荷量は7,814.8kl。スーパーマーケット・コンビニエンスストア向けの販売が好調となっており、出荷量は急回復を見せています。
また、地区別出荷量については北海道・東北・関東・中部・北陸・近畿・中国・四国・九州の9地区すべてで増加。全国的に、地ビールの流行が広がっていることを示す結果と言えるでしょう。
大手ビールメーカーが売上の回復を見せた一方で、地ビールメーカーは香り・風味・泡・炭酸などにこだわった個性的で美味しいビールづくりに注力。とくにコロナ禍であった2021~2021年は家飲み需要によって地ビール・クラフトビールの需要が増加したため、その味と魅力を知ったユーザーが「飲食店でもクラフトビールを楽しむ」という好循環が期待されています。
お酒のキャップを製造・販売するきた産業が、1995年の地ビール解禁以来続けている調査によると、全国のクラフトビール・地ビールの醸造所数は2021年12月末時点で559ヶ所、2022年 12月末時点で677ヶ所となっています(キリン・アサヒ・サッポロ・サントリーといった大手が経営するクラフト・ブルワリーも含む)。
クラフトビールの醸造所は、地ビールが解禁された1995年から1999年にかけて急増し、そこから2017年まで横ばい状態。2018年から数が増加し始め、2022年は過去最高の数となっています。
なぜ2018年から醸造所数が急増したのか、その理由は酒税法の改正です。酒税法改正によってビールの定義が緩和され、これまで認められなかった副原料を利用したものも「ビール」と認められたのです。
クラフトビールの副原料とて使用できるものには、果実・スパイス・野菜・はちみつ・お茶・牡蠣・ワカメ・コーヒーなどがあり、アイデア次第で新しいクラフトビールを生み出すことが可能。ユーザーのクラフトビールへの注目度も高まっており、まだまだ盛り上がりを見せそうです。
地元の特産品や独自のアイデアを活用して新しいクラフトビールを生み出すことは、多店舗との差別化を図るといった意味でも効果を発揮するでしょう。とくに、醸造所であるマイクロブルワリーが併設されているとなると注目度アップも期待できるため、導入を検討する価値はありそうです。