マイクロブルワリーを開業するにあたり、課題となるのが醸造免許の取得です。クラフトビールを製造するために必要な免許とその取得方法、条件、注意点といった情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
クラフトビールを醸造するための免許には、ビール製造免許・発泡酒製造免許の2種類があります。
免許の種類によって製造できるビールが異なるため、どのような商品を開発したいか考慮して選ぶようにしましょう。
醸造免許を取得するには、醸造を行うエリアを管轄する市区町村の税務署で手続きを進めます。ビールをはじめとする酒類を製造するためには、酒税法に基づいて、製造予定の品目別・製造場ごとに所轄税務署長より免許の交付を受けなければならないのです。
必要な書類を提出すると、税務署は申請者の製造技術能力・設備や経営基礎の状況・法律の遵守状況などをチェック。さらに、1年間に製造可能な酒量が最低ラインを超えるかどうか(ビールの場合は60,000リットル)を審査、要件を満たすと判断されれば製造免許が交付されます。
酒類製造免許を取得するためには、「人的要件」「場所的要件」「経営基礎要件」「需要調整要件」「技術・設備要件」の5つを満たさなければなりません。
クラフトビールをはじめとする、酒類を製造する人に問題がないかどうかという要件です。酒税法の免許またはアルコール事業法の許可取り消し処分を受けたことがあり、その日から3年を経過していない場合は免許を申請できません。また、未成年、税金滞納といった要件も問われます。
クラフトビールを製造する場所が、酒類の製造に適しているかどうかという要件。製造場と販売店・バー・レストランなどを同一の場所に設置する場合は、それぞれの場所において個別のチェックが必要となります。
経営基礎要件とは、しっかりと経営を行っていけるのかどうかといった基盤の確認。資本金は十分か、税金を滞納していないか、銀行取引停止処分を受けていないか、繰越損失が資本金を超過していないか、販売者管理体制は整っているかなどが問われます。
需給調整要件とは、社会的な需要と供給のバランスをコントロールするのが目的。需要が減少している種類に関しては免許を交付しないようにし、供給とのバランスを維持しているのです。この要件で免許を取得しにくいのは日本酒ですが、クラフトビールやウイスキーに関しては近年需要が増えているため、ほぼ問題はないと考えられます。
技術・設備要件とは、目的の酒を製造するのに必要な技術と設備が整っているかという要件です。技術に関しては、酒類製造の現場経験があるかどうかで判断。マイクロブルワリーの開業にあたっては、ブルワリーでの労働経験があれば要件を満たせます。
醸造免許を取得するには、事前の準備が重要となります。
醸造免許を取得してマイクロブルワリーを開業するにあたり、重要なのは綿密な事業計画。事業の概要をはじめ、必要資金の額やその調達法、事業開始後の収支の見込みなどについて、しっかりと計画を立てておくことが重要です。この事業計画を疎かにすると、経営基礎要件を満たせず免許を取得できない恐れがあります。
マイクロブルワリーを開業するには専門の設備が必要であり、どこにでも設置できるというワケではありません。市区町村によっては排水条件のような独自の決まりがあるため、事前に把握しておかないと思わぬところで予定が狂ってしまいます。各自治体と密に連携を取り、スムーズに開業を進められるようにしましょう。
醸造免許を取得するための要件に「技術要件」が挙げられますが、これは目的の酒類を安全に製造できる技術があるかどうかが問われるものです。この技術要件を満たすには、どこかの醸造所で修業を積むのが一番ですが、「修行をする時間がない」「目的のお酒を造っている醸造所がない」といった問題もあるでしょう。
実は、この技術要件を満たす方法に「すでに醸造技術を持っている人と事業をスタートする」というものがあります。この方法であれば修行に時間を割くことなく、すぐにブルワリー事業を始めることができるでしょう。ただし、醸造家を雇うコストが必要となるため、人件費はかさむ恐れがあります。
醸造免許の取得にはさまざまな要件が必要となりますが、取得に関するノウハウを持つマイクロブルワリーのプロデュース会社にサポートしてもらうというのもひとつの手段。自分自身が免許を取得できれば醸造家を雇うコストも削減できますし、何より自分の好きなクラフトビールを開発・製造することができます。ぜひ、一度話を聞いてみてください。