ブルワリーを開業してクラフトビールを製造するには、初期費用となる資金調達を行う必要があります。ここでは、そのためのいくつかの方法をご紹介。それぞれの資金調達方法の特徴を把握し、計画性を持ってブルワリー開業を目指しましょう。
ブルワリー開業に必要な初期費用が不足している場合、以下のような資金調達方法が考えられます。
日本政策金融公庫とは、政府が100%出資している政策金融機関。この日本政策金融公庫では「国民生活事業」の融資を行っており、マイクロブルワリーのような小規模事業でも利用しやすい融資を取り扱っています。国民生活事業が取り扱ってきた融資先数は119万件以上、1件あたりの平均融資額は980万円と、小口融資がメインとなっています。
参照元:日本政策金融公庫「国民生活事業の業務の概要」
信用保証付きの融資とは、公的機関である「信用保証協会」に保証人になってもらうことで民間金融機関から融資を受ける制度。信用保証協会は全国にあり、管轄する地域ごとに事業者向けの融資制度を取り扱っています。この制度では、万が一返済が滞った場合の返済を信用保証協会が代行。事業者は債務者となり、信用保証協会に借入金を返していくことになります。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数から少額の資金を調達する方法。ブルワリー開業であれば「こういうクラフトビールを造りたい」というアイデアや発想をネットで発信し、それに共感してくれる支援者から資金を募ります。
このクラウドファンディングには「リターン」という制度があり、これは起案者であるブルワリー開業希望者が支援者に対してお礼をすること。たとえば、オープン時のセレモニーに招待する、特別な飲み比べメニューを提供するといった、魅力的なリターンを考えることで支援者からの注目を集めることができます。
ただし、目標金額を達成するまでには2ヶ月以上かかるケースもあるため、計画的に利用することが重要です。
新たな事業として参入するのであれば補助金を活用する方法もあります。補助金にはいくつか種類があり、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」など、補助金の内容に合わせた事業計画が必要となります。
申請したからと言って必ず補助が下りるわけではありませんが、実際に補助金を活用してブルワリーを導入している企業もあるため、検討の余地はありそうです。
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者等に対する設備投資等を支援する制度の一種。今後数年にわたって行われる各種の制度変更などに中小企業等が対応できるよう、中小企業庁が率先して推進している補助金制度です。
補助上限額は750~5000万円。通常枠、デジタル枠、グローバル市場開拓枠など、いくつかの枠に該当する企業が補助対象となります。
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。令和5年8月、第16次となる補助金申請がスタートしました。
ものづくり補助金は、電子申請システムのみで受け付けています。
事前に「GビズIDプライムアカウント」を取得した上で、ものづくり補助金の公式サイトを開いて「電子申請」を選択。「電子申請システム操作マニュアル」に目を通し、必要書類を添付してお申込みください。
必要書類には事業計画書や誓約書、決算書などの様々なものがあります。事前に必要な書類を確認の上、計画的に用意しましょう。
申請から約2か月後、審査結果と採択の可否を確認。審査に通過したら補助金の交付申請を行う流れとなります。
参照元:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト」
事業再生構築補助金とは、新型コロナウイルス感染拡大により事業に影響を受けた中小企業等に対し、新たな事業モデル構築のための支援を行う目的で設置された補助金です。独立行政法人中小機構が中小企業庁の許可のもと運営している補助金事業となります。
補助金は、既存事業の再構築や新規事業の立ち上げ、設備投資、人件費、公告宣伝費などの様々な経費として使用可能。2023年からは、コロナ以前と比べて売上が減っていない事業者でも申請が可能となりました。
申請手続きは全て電子申請により行われます。
あらかじめ経済産業省の「GビズIDプライムアカウント」を取得し、事業再構築計画書をはじめ、決算書などの各種資料を用意。申請書とともに、事業再生構築補助金の公式HPから電子申請を行います。
専門の審査官が申請された書類を確認し、採択の可否を決定。採択された場合には交付申請を行い、補助金請求を行って補助金を受給します。
参考までに、採択率は30~50%。比較的高い確率で採択されるため、ぜひ選択肢の1つとして検討してみましょう。
参照元:経済産業省「事業再構築補助金」
当サイトの取材協力企業である「アウグスビール株式会社」の取締役、村井庸介氏がクラフトビールについて解説するYouTubeチャンネルもぜひチェックしてください。
ブルワリー開業や会社の新規事業でビール造りをする方法から日常ネタで使えるビールの豆知識まで、クラフトビールに惚れ込んだ村井氏が詳しく解説されています。
ブルワリーを開業するには、タンク・モルト粉砕機・洗浄機といったクラフトビールを製造するための設備が必要となり、設備だけでも2,000万円ほどの初期費用が必要です。さらに、内装費や物件取得費といったコストがかかる可能性もあります。何にどれくらいの費用が必要となるのかを洗い出し、計画的に資金調達を進めていきましょう。