ここではマイクロブルワリーとは何か、開業するにはどのような手続き・準備が必要なのかといった基本情報をご紹介していきます。
ブルワリーとは、ビール醸造所のこと。マイクロブルワリーとは、その名の通り小規模なビール醸造所を指します。日本でもマイクロブルワリーは近年増加傾向にあり、その数は2022年 12月末の時点で全国に677ヶ所(※)。マイクロブルワリーで生み出されるオリジナルのクラフトビールにも注目が集まっており、マイクロブルワリーの開業を考える店舗・設備等も少なくありません。
※参照元:きた産業公式HP 2023年02月03日時点のデータ https://kitasangyo.com/beer/MAP.html
マイクロブルワリーの開業には、専門の免許が必要となります。製造したいビールに合わせて、以下のいずれかの免許を取得することになるでしょう。
免許を取得するには、製造技術・設備・経営基盤といった要件も問われるため、詳しい情報をきちんとチェックしておきましょう。
マイクロブルワリーを開業するには、タンクなどを設置するためのスペース・物件が必要です。店舗の空きスペースや使っていない倉庫などがあればそれを利用できることもありますが、新規に物件を探す場合は以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
ビールの原料といえば麦芽とホップですが、水も主成分のひとつ。水質ひとつで、ビールの仕上がりが変わってしまうと言っても過言ではありません。マイクロブルワリーを開業する場所を選ぶのであれば、水がキレイかどうかをチェックすると良いでしょう。
ビール製造に使われる水は、まず衛生的でおいしく飲めることが第一。そして、どのようなビールを造りたいかによって選ぶべき水質が異なってきます。水質でチェックすべきは硬度で、これは水に含有されるカルシウム・マグネシウムといったミネラル量のこと。ミネラルの少ない軟水はスッキリとしていて飲みやすく、淡色系ビールの製造に適しています。ミネラル量の多い硬水は味が比較的はっきりしているため、濃色系ビールに向いているとされています。
マイクロブルワリーを開業してクラフトビールを提供するのであれば、それに合った雰囲気の場所を選ぶことも重要。軽い飲み口のクラフトビールであれば爽やかさを感じられる場所、重厚な飲み口のクラフトビールならシックで大人の雰囲気を感じられる場所、といった具合です。また、女性・サラリーマン・観光客など、ターゲットとする層に魅力的だと思ってもらえるような場所を選ぶと、ビジネスの成功につながるかもしれません。
マイクロブルワリーの開業に必要な物件を借りる場合、保証金・仲介手数料といった費用のほかに、毎月の家賃がかかります。保証金は家賃の半年~1年分、仲介手数料は家賃1ヶ月分が目安。たとえば家賃20万円の物件を借りるなら、120~240万円の保証金と20万円の仲介手数料が必要となります。
毎月の賃料も発生するため、物件取得から開業までに時間がかかってしまうと、その分の家賃を払い続けることになります。契約のタイミングにはくれぐれも注意しましょう。
マイクロブルワリーを開業し、オリジナルのクラフトビールを製造・提供するのであれば、「ここでしか味わえない」といった特別感をアピールすると良いでしょう。たとえばマイクロブルワリーにバーやレストランなどを併設し、出来立てのビールをその場で味わえるようにするなどです。そこでしか飲めない限定ビールやメニューなどがあれば集客も期待できるようになり、それが付加価値となって顧客単価アップにもつながっていくでしょう。
さまざまな飲食店・施設・企業がマイクロブルワリーを開業している昨今、マイクロブルワリーはめずらしいものではなくなりつつあります。そのため、顧客から注目され選ばれるようなしっかりとしたコンセプトを設計し、競合店・競合企業との差別化を図る必要があります。個性的で品質の高いクラフトビールを提供するのはもちろん、お店のコンセプトをしっかりと決め、それに沿ったネーミング・提供方法などを考えていくと良いでしょう。
マイクロブルワリーを開業してビジネスを成功させるには、製造・品質・コンセプト設計といったさまざまな課題が立ちはだかります。もし不安が残るようであれば、プロのサポートを受けられるマイクロブルワリーのプロデュース会社を利用するという手段もあります。ぜひ検討してみてください。