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クラフトビール事業における食品衛生法と免許の取得

クラフトビール事業の立ち上げにはいくつかの法律が関与しますが、それら法律の中から、当ページでは食品衛生法をテーマに解説しています。
食品衛生法は、クラフトビール事業の立ち上げにおける主要な法律の1つ。違反した場合の罰則は重く、法律である以上「知らなかった」では済まされません。
事業開始に関連し、酒類製造に必要とされる免許や許可についても解説しています。

食品衛生法とは?

食品衛生法の概要や目的、および同法が飲食物の安全性を担保できる根拠を確認しましょう。

食品衛生法の概要

食品衛生法(1947年)は、食品衛生に関する基本的な法律です。その第1条に明記された食品衛生法の立法趣旨を引用してみましょう。

第一条 この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。

引用元:e-GOV法令検索

国民の健康保護を目的とする法令は他にもありますが、飲食の観点から国民の健康保護を図ることを目的とした法律が食品衛生法です。

食品衛生法が飲食物の安全性を担保できる根拠

食品衛生法では、食品衛生に関する様々な規定が設けられていますが、これらの規定に違反した事業者には各種の罰則を受けるリスクがあります。
たとえば、食品衛生法60条に規定された条項に違反した事業者は、営業停止命令や営業許可取り消し等の行政処分を受ける可能性があります。
これらの罰則を設けることで事業者における食品への衛生意識を高め、もって飲食物の安全性を担保している形です。

クラフトビール事業における食品衛生法の適用

食品衛生法によるクラフトビール事業への規制等について確認しましょう。

クラフトビールの製造プロセスにおける衛生面の規制

食品衛生法のもと、クラフトビール製造事業者は「食品衛生監視票」に基づいた厳格な訪問審査を受けることとなります。
食品衛生監視票の内容は6カテゴリに分かれ、それぞれのカテゴリには「施設の衛生管理」「使用水の管理」「廃棄物及び排水の取扱い」「検食の実施」「モニタリング方法の設定」などの細かい監視項目が設定されています。

ビール製造における原材料の取扱いと保存方法

食品衛生法にもとづくHACCP(ハサップ)の運用において、ビールを含む食品製造における原材料の衛生管理と取扱い、および保存方法についての規定があります。
たとえば原材料においては、納入業者において十分に品質管理が行われているものを選ぶこと、受入履歴や品質に関する各種情報を記録することなどを規定。
保存方法においては、高温多湿を避けた清潔な製品倉庫に保存することなどを規定しています。

免許と営業許可

クラフトビール事業を営むためには、国税庁から「酒類製造業免許」を取得すること、および都道府県知事から「酒類製造業許可」(営業許可)を取得する必要があります。それぞれの概要を確認しましょう。

酒類製造業免許

酒類製造業免許とは、酒類を製造する全ての事業者に必要な免許です。酒税法を根拠としています。もちろん、クラフトビール事業者も酒類製造業免許を取得しなければ、事業を行うことができません。
酒類製造業免許の取得要件には、人や場所、経営基盤、製造技術、設備などに関する規定があります。これら規定を全てクリアし、所定の書類に記入の上、酒造工場を管轄する税務署へ免許取得の申請を行います。
なお、酒類製造免許は製造品目ごとに取得しなければなりません。そのため、申請したクラフトビールと異なる品目の酒類を製造する場合には、改めて税務署への免許取得申請が必要となります。

酒類製造業許可(営業許可)

クラフトビール事業者等は、酒類製造業許可(営業許可)を取得する必要もあります。上記の酒類製造免許と名前が似ていますが、こちらは食品衛生法を根拠とする許可になります。
許可を取得するためには、一定の用件を満たしたうえで製造工場を管轄する保健所への申請し、都道府県知事による許可を得る必要があります。

違反した場合のリスクと罰則

クラフトビール事業者が上記の法律に違反した場合には、一定の罰則を受ける可能性があります。意図せず違反しても罰則の対象となるため、結果として違反とならないよう具体的な予防策を講じておくよう推奨します。

法律に違反した場合の罰則

酒類製造免許を未取得の事業者が酒類の製造を行った場合、10年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科される可能性があります。
また、酒類の販売免許を取得していない事業者が酒類を販売した場合、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金を科される可能性があります。
もし免許を取得済みだったとしても、交付された免許の条件に違反した場合には、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金を科される可能性があります。

違反にならないための予防策

酒類の製造・販売に関する法令違反とならないためには、免許等の申請書類に正確な情報を記載することが大前提です。記載内容に不明な点があれば、申請前に税務署で確認しましょう。
確定申告においては売上・経費等を正確に計算し、正しく確定申告を行ってください。
また、事業主のみならず、酒類の製造・販売を行う従業員においても、法律の正しい理解を促すことが重要です(未成年に酒類を販売しない等)。

編集部まとめ
WITHBEER クラフトビール導入マニュアルウィズビア

食品衛生法の概要、クラフトビール事業における食品衛生法の規制、クラフトビール事業を営む上で必要となる免許と許可、法律に違反した場合の罰則などについて解説しました。

大望を持ってクラフトビール事業をスタートさせたにも関わらず、思わぬ法律違反が発覚して営業停止処分や罰金刑などを科されてしまっては、事業の継続・拡大に向けたモチベーションも下がるかもしれません。
ビールの味や品質、営業努力等とは別の問題で出鼻をくじかれないよう、食品衛生法をはじめとした法律に細心の注意を払って事業に取り組むよう推奨します。
クラフトビールを取り巻く法律に明るくない方、はじめてクラフトビール事業を立ち上げる方などは、一度専門家へ相談してから具体的な事業化のステップへ移るよう当サイトはおすすめします。

参考リンク

アウグスビール株式会社 公式HP
アウグスビール株式会社セミナー情報

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