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クラフトビール導入の初期投資費用とは

クラフトビールを導入するにあたり、知っておきたいのが初期費用です。何にどれくらいの費用がかかるのかを知り、計画的に資金調達などの準備を進めることが重要となります。しっかりと情報に目を通しておきましょう。

この記事はこんな方におすすめ
  • クラフトビールについて特段詳しいわけではないが、興味がある
  • どこに頼めば良いか、いくらかかるのか、皆目見当もつかない
  • 使えそうな場所についてはアテが無いことはない
  • ビールきっかけで地域活性化を目指している
目次

ブルワリー開業にかかる費用は?

保証金・礼金などの物件取得費

ブルワリーを開業するには、クラフトビールを製造するタンクや機器を設置するための物件が必要です。店舗や企業で所有する空きスペース等を利用するのであれば不要ですが、新規に物件を取得する場合は保証金・礼金・仲介手数料といった費用がかかってきます。

物件取得にかかる費用は規模や立地などによって異なりますが、数百万~数千万円程度が目安。小規模醸造を行うマイクロブルワリーであれば6~10坪ほどで始めることもできるため、物件取得費や維持費を抑えたいといった場合は検討してみると良いでしょう。

また、マイクロブルワリーを開くにあたって、自前の空きスペースで開業したというケースも多くあります。既に利用可能なスペースをお持ちの方はそういった手段も検討してみてください。

具体的な初期投資の総額目安

クラフトビール事業を開始する際の初期投資には、様々な要素が含まれます。物件取得費や設備費用、免許取得費などの費用項目を考慮すると、規模に応じて必要な初期投資はおおよそ1,000万円から5,000万円が目安となります。

小規模なマイクロブルワリーの場合でも、設備や物件、材料費などを含めると少なくとも1,500万円程度は見積もっておきましょう。規模が大きくなれば設備費や運転資金が増加し、初期費用もそれに比例して上昇します。こうしたコストを考慮した上で、事業計画をしっかりと立てることが重要です。

地域や規模による初期投資の違い

初期投資額は、開業する地域やブルワリーの規模によって大きく異なります。例えば、都市部での開業では物件取得費や賃料が高額になる一方、地方では土地や物件のコストが抑えられるため、初期投資も比較的少なく済む可能性があります。

設備の規模や製造量によっても初期費用が変わってきます。都市部のブルワリーで大規模な商業展開を行う場合、総額で3,000万円~5,000万円程度かかるケースもありますが、地方の小規模マイクロブルワリーであれば、1,500万円~2,000万円程度から始められることもあります。自分のビジネスに合った規模や場所を選定することで、無理のない初期投資計画を立てることが可能となります。

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ブルワリー開業実例①
会社の空きスペースを有効活用
Arts&Crafts Kawachiya

引用元:國澤ブルーイングインスタグラム
(https://www.instagram.com/kunisawa_brewing/?hl=ja)

東京都新橋「Kunisawa Brewing」

印刷業を本業としながらも、コロナ不況の渦中で会社の空きスペースを利用し、マイクロブルワリーを開設した「Kunisawa Brewing」
導入に至るまでの経緯や活用できた補助金、そして事業スタート後の様子など詳しく聞いてきました。

資金調達方法について

クラフトビール事業の初期費用を賄うための資金調達方法は複数あります。以下に代表的な方法を解説します。

銀行ローン

銀行からの融資は最も一般的な方法ですが、事業計画書や担保が求められることが多いです。利息や返済スケジュールをしっかりと理解しておくことが重要です。

クラウドファンディング

インターネットを通じて多数の人々から資金を集める方法です。特にクラフトビールは独自性や地域性をアピールしやすく、共感を呼びやすいため、成功しやすい分野です。成功例としては、地元に密着したブランドや新しい味わいを提案するプロジェクトなどが挙げられます。

エンジェル投資家

新規事業を支援する個人投資家から資金を調達する方法です。これには、投資家への利益配分や経営への関与についての合意が必要になることがあります。

政府の補助金や助成金

地域活性化や中小企業支援の一環として、政府が提供する補助金や助成金も検討すべきです。これらは返済不要な資金源ですが、申請手続きが煩雑な場合が多いため、ブルワリープロデュースを行っているコンサルティング会社に相談してみるのもよいでしょう。

クラフトビール製造に必要な設備費用

クラフトビールを製造するには、麦汁の製造・発酵を促す専用のタンクが必要となり、その費用は2,000万円ほど。さらに、モルト粉砕機・樽洗浄機・冷蔵庫といった導入する必要があります。

ここで、マイクロブルワリーのプロデュースを行っているアウグスビールの醸造設備パッケージを例に挙げてみます。このパッケージにはマイクロブルワリー開業に適した醸造設備一式が含まれており、設備については提携工場が受注生産方式で新品を製造。費用は、300リットルのタンク×3(煮沸タンク・糖化タンク・お湯タンク)などがすべて込で1,500万円から。必要なものがすべて揃っているため、ムダがありません。

工夫次第で節約できる内装費

ブルワリーを開業し、製造したビールをその場で販売するための店舗やレストランを併設するケースもあります。こだわりのクラフトビールを提供するのですから、内装にもこだわりたいもの。しかし、この内装作業を専門業者にすべて任せるとなると予算は500万円前後が目安となるため、コストオーバーになりかねません。

そこで検討したいのが、DIYでの内装作業。好きな壁紙やインテリアなどを選び、できる限り内装を自分で行うことで初期費用を抑えることができます。ただし、費用を抑えたいからと言って無理にDIYを行い、センスのない内装になっては意味がありません。部分的には専門業者に入ってもらうなどの工夫をしてみましょう。

OEMの場合

OEMとは「Original Equipment Manufacturing」の略称で、他社ブランドの製品製造のこと。クライアントの名義やブランド名を冠した商品の製造を、委託されたOEM会社が代わりに行うというサービスです。クラフトビールの場合、OEM醸造を手がける企業がクライアントの希望するビールを製造し、納品するという形になります。

初期費用を抑え、かつ小ロットでクラフトビール造りを始められるという大きなメリットはありますが、地産地消という本来のテーマからは少しズレることになります。

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ブルワリー開業実例②
OEMではなく、地元で醸造事業を立ち上げたい
チョウシ・チアーズ

引用元:チョウシ・チアーズ公式
(https://choshicheers.sakuraweb.com/about/)

千葉県銚子市「チョウシ・チアーズ」

実家の酒屋のビール免許・小売り免許を活かし、ビールの醸造販売を始めた「チョウシ・チアーズ」。
しかし、士業等のサポートではうまくいかず、最初は苦戦したとのこと。いかにして事業を軌道に乗せ、その後、海外コンペティションで受賞にまで至ったのか。詳しく聞いてきました。

クラフトビールの製造にかかる費用は?

醸造免許の取得や営業許可を得るための費用

クラフトビールを自社のブルワリーで製造するには、酒類製造免許の取得が必要です。この免許を取得するためには、醸造技術に関する実績を証明する必要がある他、必要書類の提出や国税庁との面談が求められます。この免許にかかる費用は最低15万円の登録免許税がかかり、審査には数ヶ月かかることもあります。また、食品衛生法に基づく営業許可を取得する場合、酒類製造業で約1万9千円、飲食店で約1万7千円の費用がかかります。

これらの手続きには時間とコストがかかるため、開業スケジュールには十分な余裕を持って計画することが大切です。

参照元:国税庁「酒類製造免許の申請等の手引(PDF)

ちなみに、酒類製造免許を取得するにあたっては技術要件を満たす必要があり、これには実際のブルワリーで修業をする必要がでてきます。しかし、「どこで修業をしたらいいのか分からない」というケースも少なくないでしょう。

こういった場合に注目したいのが、アウグスビールの「マイクロブルワリー免許取得支援プラン」。免許取得に必要な醸造研修はもちろん、申請書類作成・各種面談に向けた準備まですべて込みで350万円となっています。

ランニングコスト

ブルワリーを開業したあとには、維持費としてランニングコストがかかります。まず、クラフトビールを製造するための材料費ですが、これはどのようなビールをどれくらい製造するかで変化。1ヶ月間で750リットルほどのクラフトビールを製造する場合、45~50万円ほどの材料費が必要となるでしょう。その他に、水道光熱費として7~10万円ほどを見ておく必要があります。

運営コストについて

ブルワリー開業後の運営コストは、初期投資に比べて見落とされがちですが、事業の持続可能性を左右する重要な要素です。以下に主な運営コストを挙げます。

人件費

スタッフの給与や福利厚生費が含まれます。経験豊富な醸造士を雇う場合、その人件費は特に高くなる可能性があります。

材料費

ビールの主原料であるモルト、ホップ、水、酵母の調達費用です。原材料の価格は季節や供給状況によって変動するため、予測が難しい部分でもあります。

水道光熱費

ビールの醸造には大量の水や電気や熱などのエネルギーが必要です。特に、発酵や貯蔵に必要な冷蔵設備の電力消費は高額になる傾向があります。

設備の保守・修繕費

タンクや醸造設備の維持管理費用です。特に新しい設備は最初の数年間は問題が少ないものの、長期的には定期的なメンテナンスが必要になります。

マーケティング費用

商品のブランド力を高め、顧客を引きつけるための広告宣伝費です。特に新規参入のクラフトビールブランドは、知名度を上げるために広告やイベントなどに多くの予算を割く必要があります。

物流コスト

店舗での提供だけでなく遠方への配送も行う場合、ビールの配送費用が必要になります。特に、遠方への出荷や冷蔵輸送が必要な場合、コストが高くなる可能性があります。

これらの運営コストを適切に管理することで、より事業の安定した成長を促すことにつながります。

事業の持続可能性にについて

クラフトビール事業の成功には、初期投資だけでなく中長期的な資金計画が欠かせません。開業後には、原材料費や人件費、水道光熱費といった運営コストが発生しますが、特に初期段階ではキャッシュフローの管理が非常に重要です。

多くの新規事業者は、初期投資後1~2年目に資金がショートしやすいというリスクがあるため、適切な運転資金の確保が求められます。長期的には、事業の拡大や新商品の開発に向けた追加投資も視野に入れ、数年間の資金計画をしっかりと立てておくことが持続的な事業継続の鍵となります。

ブルワリー開業の初期投資で失敗を防ぐコツ

ブルワリーを開業してクラフトビールを導入しても、事業が軌道に乗らなければ初期投資を回収できません。失敗を防ぐためにも、以下のポイントを押さえて経営を行っていきましょう。

集客の見込みと、回収年数を考慮する

クラフトビールを導入し、ビジネスを成功へと導くためには集客の見込みを考慮することが大切です。すでに経営しているバー・レストラン・商業施設などであれば見込み客の予想もある程度つきますが、新規に開業する場合は立地・周辺環境なども考慮して、どれくらいの集客が見込めるかを考えておきましょう。また、初期投資の費用を何年ほどで回収できるかといった点もシミュレーションし、しっかりとした事業計画を立てることが重要です。

価値あるビールを生み出し、差別化を図る

マイクロブルワリーで製造・提供されるクラフトビールは1杯あたり500~800円と、一般的なビールに比べて価格帯が高め。高単価でも利益を生み出すためには、「お金を払う価値がある」と思ってもらえるような特別感のあるクラフトビールを生み出すことが重要です。味はもちろんですが、種類や提供方法にも工夫を凝らし、客単価をアップする努力をしていきましょう。

事前のリスク予想と対策

クラフトビール事業には、原材料の価格変動、市場競争の激化、規制変更、予期せぬ機器故障などのリスクが伴います。これらのリスクを事前に把握し、適切な対策を講じることが、事業の安定運営に不可欠です。例えば、長期契約による原材料コストの固定、緊急対応プランの策定、競争優位性の強化など、リスク管理を徹底することで、予期せぬ事態への対応力を高めることができます。

狙うべきターゲットを明確にした戦略的なマーケティングを行う

クラフトビール市場で成功するためには、明確な顧客ターゲットの設定が重要です。ターゲットとなる顧客層(例えば、地元志向の消費者、高級志向のビール愛好家、エコ志向の消費者など)を定め、そのニーズに応じた製品開発とプロモーションを展開することが求められます。SNSや地元イベントでのマーケティング活動、試飲会の開催など、顧客と直接つながる施策を取り入れることで、ブランドロイヤルティを高め、多くのライバルとの競争優位を確立することにつながります。

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ブルワリー開業実例③
地域活性化としてのマイクロブルワリー開業
伊能忠次郎商店

引用元:伊能忠次郎商店インスタグラム
(https://www.instagram.com/inotyujiro_shoten/)

千葉県香取市「伊能忠次郎商店」

「衰退していく地元を活性化したい」そう考えた経営学者が選んだのは地元でのクラフトビールづくり
経営学の専門家によるクラフトビール販売のコツ、そして安定経営のためのマーケットインという考え方とは?詳しく聞いてきました。

編集部まとめ
WITHBEER クラフトビール導入マニュアルウィズビア
やっぱり大変なお金のこと。でもやりたいならやろう!

ここまでブルワリー開業のために必要な経費を大まかに解説してきましたが、これら全てを個人でまかなうのはやはり至難の業。
また、上記はあくまで初期投資の話。ここから醸造に関する知識を身に着け、免許を取得し、開業後は販路確立、そして拡大と、いくら気持ちが強くとも、人ひとりでやるのは非現実と言わざるを得ないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、アウグスビール株式会社のマイクロブルワリープロデュース
自社ブランドを展開する傍ら、2023年時点で全国で20件以上のクラフトビール開業を支援中の実績を持つブルワリーです。
「絶対に地元でクラフトビールを作りたい でもどうしていいか分からない」という方は是非一度、話を聞いてみてはいかがでしょうか?

アウグスビール株式会社 公式HP
アウグスビール株式会社セミナー情報

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