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クラフトビールは儲かるのか

近年、幅広い世代から注目を集めているクラフトビールですが、店舗や施設に導入することで本当に儲けは出るのでしょうか?マイクロブルワリーの開業を考えている方は、情報をぜひチェックしておいてください。

目次

比較的高めに設定できるクラフトビールの単価

大手ビールメーカーが提供する製品は、350mlで200~300円程度が一般的。それに比べて、中小のメーカーやマイクロブルワリーで製造するクラフトビールの単価は、同じサイズで350~500円と高めの設定となっています。この価格差は、ビールの製造量によって生まれるものです。

ビールの単価は、タンクのサイズ・製造本数・稼働率によって決まります。大手は大型のタンクをいくつも所有しており稼働率も高いため、本数を多く出荷でき単価も抑えることができるのです。しかし、小規模醸造所であるマイクロブルワリーの場合はタンクも小さく本数も少なめ。醸造についても手作業が多くなっており、どうしてもコストが高くなってしまうのです。

しかし、「少量しか製造できない」「手作りである」といった部分はクラフトビールにとっての魅力であり、またとないPRポイント。クラフトビールならではの特別感があるからこそ、価格設定を比較的高めに設定することができるのです。

クラフトビール事業に参入するメリット

インバウンドも含め、多くの観光客が求める商品は地産市場から生まれる商品。すでに多くの地域で観光客向けの様々な地産商品が誕生していますが、中でもクラフトビールには大きなマーケットが潜在していると言われています。

クラフトビール事業の中でも特に注目したいポイントが原価率の低さ(=営業利益率の高さ)。ほかにも、企業ブランディング向上や観光資源化など、クラフトビール事業への参入には多くのメリットが期待できます。

利益率が高い

投資回収シミュレーション:マイクロブルワリー導入

※AUGUST BEER公式HP(https://augustbeer.com/craftbeer_brewing)を参照

初期投資 2,300万円(税込:2,530万円)
※設備+コンサル+内装の概算
販売価格 1杯330ml:700 円(税込:770円)
販売数量 2,500杯/月 ※年間1万L(1か月あたり833L)の販売を想定
売上 2,500/杯 x 700円(税込:770円) = 175万円/月(税込:192.5万円/月)
想定原価 2,500/杯 x 200円(税込:220円) = 50万円(税込55万円)
月次粗利 175万円-50万円=125万円(税込:137.5万円)
投資回収 2,300万円(税込:2,530万円)÷125万円(税込:137.5万円) ≒ 18か月

一般的な飲食店の原価率は35%程度と言われていますが、ビールを自社製造している飲食店の原価率は約20%。原価率を大幅に抑えて利益率を上げられることに加え、特にクラフトビール専門店では自社ビールの売上構成比50%超となるため、高い営業効率が期待できます。

AUGUST BEERのクラフトビール事業導入事例では、店舗売上30%増の導入効果が見られた事例もあります。

質の良いクラフトビールを作り集客数を安定させられれば、長く優良経営を維持させられる可能性があるでしょう。

企業のブランディングにつながる

大量生産される一般的なビールとは異なり、クラフトビールは地域の素材を活かしたコンセプトを織り込めるのがメリット。地方の魅力が見直されている昨今、自社のクラフトビールを軸にSNSやプレスリリースを活用して地域の魅力を発信すれば、企業としてのブランディング向上にも役立つでしょう。

観光資源としても注目される

クラフトビール事業は、単に飲食店の一種としてだけではなく、地域の観光資源創出や雇用創出に貢献する事業としても注目されはじめています。総務省が主導する「地域力創造施策」での事例では、実際に観光資源化・雇用創出に貢献したクラフトビールブルワリーも誕生しています。

また、今後のインバウンド需要の回復が想定される中、日本の個性あふれるクラフトビールは、外国人観光客の方々に向けた強いアピール商品として売り出せるのではないでしょうか。

マイクロブルワリーの開業で成功するコツ

トコトン味にこだわる

マイクロブルワリーの主力商品はクラフトビール、その味にはトコトンこだわるべきでしょう。クラフトビールは自由度が高いため、地元の特産品など個性的な原料を使うこともできますが、あまりにも奇抜だとリピーターを獲得しづらくなり、利益につながらなくなってしまいます。個性的な商品を販売したいという場合は、その他に一般受けする商品も用意しておくと良いでしょう。

品質の向上で差別化を図る

小規模醸造のマイクロブルワリーでは、品質を追求することも重要です。品質と価格が見合っていなければ顧客は定着せず、ブルワリー事業も失敗に終わる恐れがあります。実績のある醸造家のもとで修業をする、アドバイスをもらう、原料となる水や素材にこだわるなどの取り組みで、品質の向上に努めましょう。

マーケティング戦略によるブランド認知度の向上

クラフトビール事業は、オリジナリティの強い商品を地産するタイプの事業。その性質上、ただ単に「美味しいビールを作る」だけでは、マーケットに知ってもらうチャンスが限定されてしまいます。

事業に成功するためには、プレスリリースやSNS、地元イベントなどを通じ、積極的に自社製品をアピールすることが大事。広く市場に知ってもらうためのマーケティング活動を怠らず、自社商品の認知度を上げていきましょう。

地元以外の場所で行われているオクトーバーフェストへの出店なども、認知度向上には大変有効です。

クラフトビール事業の成功事例紹介

クラフトビールで月商500万円:古民家ビアホールの成功事例

クラフトビール事業への参入は、観光地や地域の活性化において大きなメリットをもたらす可能性があります。その好例として、東京・谷中での「谷中ビアホール」を紹介します。

谷中ビアホールは、昭和13年築の古民家を再生して開店したビアホールです。このビアホールを運営するイノーバージャパンは、AUGUST BEERと共同でオリジナルクラフトビールを開発しました。これにより、ビールだけで月商500万円を達成するほどの定番商品となり、予約必須の店舗として成功を収めています。

ドリンクメニューでは、テイスティングセット(4種)やサイズごとに異なる価格帯のビールを提供しています。例えば、Sサイズ(285ml)が730円、Mサイズ(395ml)が1,040円、Lサイズ(575ml)が1,420円といった具合です。

谷中ビアホールの成功の背景には、地域の特性を活かしたマーケティングと、オリジナルビールの開発があります。谷中は東京の観光地として人気があり、伝統と新しい文化が交錯する場所です。この地域の魅力を引き出し、訪れる人々に独自の体験を提供することで、クラフトビール事業を成功させています。

さらに、谷中ビアホールは観光客だけでなく、地元の人々にも愛される店舗となっています。シーズンごとの食材を使ったオリジナルフレーバービールの提供や、醸造過程における微細な変化を楽しむことができるクラフトビールの魅力を最大限に活かしています。

古民家再生とクラフトビール事業の融合は、地域活性化と経済効果を同時に実現する成功事例として注目されます。クラフトビール事業への参入を検討する際には、地域の特性や文化を活かしたアプローチが重要であることを示す事例と言えるでしょう。

マイクロブルワリー導入成功事例をさらに見る

編集部まとめ
WITHBEER クラフトビール導入マニュアルウィズビア
品質・集客それぞれに目を向けた戦略を

「話題になっているからクラフトビールは儲かる!」ではなく、常に味と品質を追求し続けることが利益を生むヒケツと言えるでしょう。また、品質のよい商品を製造できたとしても、お客を呼び込めなければ儲けにはつながりません。店舗にお客を呼び込む、効果的な集客術についても押さえておくべきでしょう。

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