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マイクロブルワリーとは

マイクロブルワリーとは、分かりやすく言えば「小さなビール醸造所」です。イギリスやアメリカが発祥と言われ、日本でも1994年の酒税法改正をきっかけにより、マイクロブルワリーの件数が急速に拡大しました。

ここでは、マイクロブルワリーの定義や歴史、ビール産業への影響などについて解説しています。

マイクロブルワリーって何?

マイクロブルワリーとは「小さなビール醸造所」のこと。イギリス・アメリカにおける醸造スタイルから誕生したビール醸造所の一種で、現在では日本を含め世界中に拡大しています。

醸造所単体では小規模なものの、産業全体で見れば、マイクロブルワリーは大きな影響力を持つ存在。大手ビール会社は、世界中のマイクロブルワリーで製造されているビールを商品開発の参考にしていると言われています。

マイクロブルワリーの定義

マイクロブルワリー発祥国の1つであるアメリカでは、次の2つの要件を満たすビール醸造所をマイクロブルワリーと定義しています。

  • 年間生産量が15,000バレル(約180万リットル)を下回ること
  • 製造するビールの75%以上が外部へ販売されていること

日本におけるマイクロブルワリーは厳格に定義づけされていませんが、おおむね次のようなビール醸造所がマイクロブルワリーと呼ばれています。

  • 1994年以降にビール製造免許を取得した醸造所
  • 大手ビール会社以外が運営していること

なお、以上の要件を満たした日本のビール醸造所は「地ビール製造免許場」と呼ばれることもあります。

マイクロブルワリーの歴史

マイクロブルワリーの起源はイギリスとアメリカ

マイクロブルワリーは1970年代、イギリスとアメリカで、それぞれ別々のきっかけで誕生しました。

イギリス

1970年代、大手ブルワリーの市場支配に対する反動から、小規模なブルワリーが誕生。大手ブルワリーとの違いをアピールするため、地域の原材料を活かして地域向けに販売することが特徴でした。

これらの動きは「リアル・エール運動」として徐々に国内へ拡大。現在に至るマイクロブルワリー産業の先駆的な動きとなりました。

アメリカ

アメリカでは1970年代から自家醸造(ホームブルーイング)が合法化。これをきっかけに、多くのビール愛好家らが自分好みのビールを作って楽しむようになりましが、それらの中に販売を目的としてビールを醸造する経営者も登場。その動きが拡大し、アメリカでは多くのマイクロブルワリーが生まれることとなりました。

世界経済を牽引する主要国でもあるイギリスとアメリカ。これらの国でマイクロブルワリー産業が発展したことにより、同じ産業が世界中へと波及していくこととなります。

日本でのマイクロブルワリーの広がり

日本では1994年の酒税法改正をきっかけに、マイクロブルワリーが続々と誕生しました。

それまで日本では、ビール醸造所の免許取得に必要な年間製造量が「200万トン以上」。大規模なブルワリーしか免許を取得できない状況でした。

ところが1994年の酒税法改正により、年間製造量の基準が大幅に緩和。「6万トン以上」まで引き下げられたことから、以後、小規模な事業者にとってもビール醸造所の運営が現実的なものとなりました。

1999年末には全国に約260ものマイクロブルワリーが誕生しましたが、その後、ブームは一旦沈静化。再び大手ビール会社の商品が市場を席巻しつつあったものの、2010年に見られた世界的なクラフトビールブーム、および2018年の酒税法改正をきっかけに、改めてマイクロブルワリーが脚光を浴びる流れに。かつて、その件数が180未満まで落ち込んだマイクロブルワリーは、2023年12月末時点で805ケ所にまで増加しています。

ビール産業でのマイクロブルワリーの影響

マイクロブルワリーの規模そのものは小さいものの、各醸造所ではオリジナリティある様々なビールを展開。それらの中からは、地域の枠を超えて広く市場から受け入れられるビールも生まれました。

これら背景から、大手ビール会社の商品開発において、全国のマイクロブルワリーで作られるビールが参考にされることもしばしば。実際に、マイクロブルワリーで作られたビールを参考にした大手ビール会社の商品も数々誕生しています。

昨今の日本人は、ビールに限らず、価値観の多様化や希少性を求める傾向が強くなってきました。この傾向はますます顕著になっていくと予想されるため、今後、ビール産業におけるマイクロブルワリーも影響力もますます強くなっていくのではないでしょうか。

マイクロブルワリーとクラフトビールの関係

1970年代のアメリカにおける自家醸造の合法化をきっかけに、同国では1980年代からマイクロブルワリーが急増。結果、クラフトビール市場は大きな成長を遂げました。

近年、アメリカでのクラフトビールのシェアは、ビール産業全体の20%以上。マイクロブルワリーの成長がクラフトビール市場、ひいてはビール産業全体の変化へと寄与した格好です。

醸造所見学やビールテイスティングサービスなど、消費者との直接的な接点を通じたマイクロブルワリーの取り組みも、クラフトビールの文化に少なからぬ影響を与えています。

編集部まとめ

マイクロブルワリーの定義や歴史、ビール産業への影響、クラフトビールとの関係などについて解説しました。

大手ビール会社との価格競争にさらされる中、クラフトビール産業は、次なる挑戦へと歩みつつあります。

たとえばAIによる生産プロセスの自動化。原材料や季節などに応じて柔軟にレシピを最適化できるAIは、マイクロブルワリーの限られた人的資源の中で大きな役割を果たすことでしょう。

また、くしくも新型コロナの影響により、オンライン販売やデジタルマーケティングが活性化したこともマイクロブルワリー産業においては追い風。マイクロブルワリーの新たな可能性が広がったことで、今後ますますクラフトビール産業は隆盛を見せていくことが予想されます。

アウグスビール株式会社 公式HP
アウグスビール株式会社 公式HP

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